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死のやわらかい(歌集)

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鳥さんの瞼/点滅社
2024年5月発行

わたしが日々を営むうえで切り離すことのできない「死」。だれかの、なにものかの(人間だけではなく、すべてのものの)命の終わりとともに今日を生きている。それは表裏一体であり、どちらも尊い。作者「鳥さんの瞼」さんが向き合う「死」の傍らには、同じくらいに「生」の気配がみられるように思います。
全編を通じて多いのが「母」の歌。歌集を通して読むと、母が自分を生んだ時の状況が垣間見えます。「生んでくれた人」とか、「育ててくれた人」を超えたひとりの人間として、同志として読まれた歌の数々は必読です。
あとがきで「幸せとは痛みに視線を向けないでいること」と。もちろん今の世界への痛烈な批判であるのだと思います。誰かの痛みを敏感に感じながら、それでもひとつひとつの死と生をすくいとるような、装丁もとても美しい鳥さんの瞼さんの第一歌集です。
歌人の岡本真帆さん、林あまりさん、東直子さんによる、歌集の解説書ともいえる「栞」がついています。

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