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中村睦美・今村謙人・又吉重太 編/屋台本出版
2023年12月発行
現代の「屋台」はイメージもさまざま。
実に軽やかで、閉塞感のただよう現代にあって、この本に出てくる「屋台実践者(屋台とともに街に出る人びと)」は、とても小気味よく街を闊歩し、人を引き寄せたり、時には自ら人に近づいて、不思議なコミュニティを作っていきます。まるでひとつの舞台のように。
「二極化」「分断」といわれますが、明らかに「持たざる者」のほうが増えている日本、世界。負け惜しみのようでもありますが、持たざる者の強みは「持っていないからこその柔軟性」。そのやわらかさで、人と街を縫うようにつないだり、やわらかいロウソクの灯りのようにそこで人を待っていたり。固定されてないから、よどんだ社会に流れを与えて新鮮な空気を入れていく。屋台は自ら音楽を奏でながらステップを踏んでいるようでもあり、そんな軽やかさこそが、これからを生き抜くひとつの「強さ」であるように思えるのです。
本の前半部分は屋台実践者のことば、後半部分は文化人類学・社会学・哲学・社会史・政治学の専門家による、屋台からみるレクチャー。「屋台がある・いる」ことが許容されない場所は、自由も魅力も底力もない、生きづらい場所でしかないのかもしれません。街づくりの本としても興味深い一冊です。
レビュー
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