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死なれちゃったあとで
¥1,870
前田隆弘/中央公論新社 2024年月発行 はじめて身近な人の死に触れたとき、それまでのどこか遠い「死」がいきなり距離を縮めてきました。それから幾人もと別れを繰り返しているけれど、ひとりとして同じものはなく、身近な存在であればあるほど、かえって近いところでその人が息づいているようにも思えたりもします。 「死なれちゃった」あとで、先に逝った人たちは、いろんなものを遺してくれています。著者前田さんの後輩Dさんの場合もそう。死なれちゃっても終わるものは何ひとつない。死んだ人も、今でも新しいものを生み続けている。いろんな思いを抱えつつ、死に遭遇し、死とともに生きる人たち、わたしたち誰ものお話です。
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中学生から知りたいパレスチナのこと
¥1,980
岡真理・小山哲・藤原辰史 著/ミシマ社 2024年7月発行 生まれた場所がたまたまその場所だった。そのためにずっと虐げられる人々がいる。「わたしは暴力は振るっていない」と思っている人々は、どう世界と関わって、無意識のうちに何をしているのか。 知らない、見えない歴史を知ることは、世界とのかかわり方を考えるきっかけになります。この本は、パレスチナ問題に精通されている岡真理さんと、西洋史(ポーランド史)研究者の小山哲さん、ドイツ史・食と農業の歴史の研究者の藤原辰史さんが、それぞれの精通された視点から提言されています。 「中学生」ではまだ学習していない歴史もたくさん出てきますが、ひとりで読むのではなく、たくさんのいろんな考えの人に教えてもらったり、あるいは教えたりしながら読んでほしい本です。 読後、表紙のオレンジのイラストについて、なにを考えるでしょうか。 ※発刊に際して、岡真理さんによる「はじめに」が全文公開されています。 https://www.mishimaga.com/books/tokushu/006158.html
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東北モノローグ
¥2,200
いとうせいこう/河出書房新社 2024年2月発行 「モノローグ」とは演劇用語で「独白」の意。その通りこの本は、東日本大震災を福島・宮城・岩手で直接体験された方々や、山形で避難された方々と過ごす人たち、東京にいらした新聞記者など計17のそれぞれの方々への取材を、聞き手のいとうせいこうさんが一人語りの形式にリライトされたモノローグです。 けれどその記録には、家族、近しい人々、近所の人から一瞬の出会いだった人、立場の違う人など、当然ですが多くの人の声が収録されています。 同じ場所にいなかったし、この日にまだ生まれていなかった人も増えつつある今日。わたしではない誰かの声を聴くことは、誰の声も聴かないことに、なにもなかったことになどしない、「共有」できることをさがす最初の一歩になるかもしれません。
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おやすみ神たち
¥2,750
谷川俊太郎 詩・川島小鳥 写真/ナナロク社 2014年11月初版・2024年7月初版第3刷 一瞬は永遠であって、永遠は一瞬のつながり。わたしだけのひとときであっても、それは世界の一部であり、それが世界を構成していて、だから肉体が滅びても、それは世界の永遠の一部となる。 この本に繰り返し出てくる「タマシヒ」。わたしたちが本当に聴くべき、見るべき、信じるべきもの。この地球上に生あるものに、かならず宿っているもの。谷川俊太郎さんの書き下ろしの詩に、川島小鳥さんが台湾で3年にわたり撮影された撮り下ろしの写真が、日々の中でないがしろにしてしまいがちな「タマシヒ」の存在に改めて気づかせてくれます。 やわらかな本体カバーにはたくさんの写真が。そのカバーを取って現れる静かな光の詩。さまざまな手触り・光沢を感じる、本文に使われた4種類の紙。おやすみ、「神」たち・・・いろんな感覚を使って読みたい詩と写真の本です。
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【再々入荷】ロシアの装丁と装画の世界
¥1,320
えほんやるすばんばんするかいしゃ 2017年5月発行 この本は、東京・高円寺で絵本を中心とする古本販売・自社出版をされるお店「えほんやるすばんばんするかいしゃ」にやってきた、旧ソ連時代の本の装丁や装画を図版として出版された本です。カラフルであったり、モノトーン調であったり、人やどうぶつたちがいきいきとデザインされていたり、おだやかで緻密な植物や風景だったり。図版はそのままテキスタイルとしてファブリックや洋服として生活に取り入れたいものも。見ていると心が動きます。 本の装丁なので、もちろん情報や意味をもつ文字が入るものも図版の中にはたくさんあります。しかし意味はわからずとも、それらを含めてひとつの作品として美しく、長く眺めていても飽きがきません。 ひとの手によって描かれたイラストやデザイン。世界情勢に気を起きつつも、雨の優しさ、夜の深さ、見えるもの見えないものの生きる世界の広さなど、シンプルに楽しんでいたいと思います。
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火の鳥 いのちの物語
¥1,540
手塚治虫 原作/鈴木まもる 文・絵/金の星社 2024年4月発行 生きるとはどういうことで、死ぬとはどういうこと?ともし尋ねられたら、なんと答えますか。 そう、わたしはまだ死んだことはないけれど、わたしの命を作ってくれているのは、まぎれもなくたくさんの命たち。 だからこそ、大切にしていかないといけないもの。自分だけが、自分の周りの人たちだけがよければいいのではないこと。 地球全体が元気でいないといけないこと。 たくさんの生と死を見てきた火の鳥が、仲間にやさしく伝えます。 手塚治虫氏原作の壮大な漫画「火の鳥」、子どもたちに向けてリミックスされ、大人と子どもが一緒に考えていきたいテーマの絵本となりました。
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【古本再入荷】死ぬまで生きる日記
¥1,200
土門蘭/生きのびるブックス 2023年4月発行 自分を堀りさげる。10歳のころから抱えていた「死にたい」という気持ちは、どこからどんなふうに湧いてき続けているのか- 悩みを聞いてくれる家族も友人もいて、これだと思う仕事も持っている、生活が苦しいわけでもない、なのに抱えて日々戦う「死にたい」という感情の原点を見つめ、受容し、自分の「生きる」を見つける、著者の土門蘭さんが2020年から受けたオンラインカウンセリングをもとにした、日々の記録です。 「死にたい」と思うこと自体が悪いことではないか、周りの人を悲しませるのではないか・・・「死にたい」と思うことは同じくらい「生きたい」と感じていることなのに・・・それらの言葉は自分の中のどこかともリンクして、読み進めつつ手が止まりつつ。 「今の自分」は過去があるから存在し、明日の、未来の自分となる。少しづつ少しづつ、著者の土門蘭さんは変わっていき、読むこちらにも荒涼な景色に色がつくように伝わってきます。 すべてを持っている人はおらず、欠けた部分とどう向き合うのか。そのヒントもたくさん発見できると思います。この本をヒントに、「死ぬまで生きる」をぜひご自身でも掘りさげてみてください。
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野球短歌 さっきまでセ界が全滅したことを私はぜんぜん知らなかった
¥1,760
池松舞/ナナロク社 2023年4月初版発行 ごひいきのプロ野球チーム、ありますか?熱狂的にとはいわなくても、定時のニュースでも必ず結果は流れ、神技プレーには推しチームを問わず「わー-!」と見とれてしまう、それがプロ野球。 この本は、コロナとともに過ごす暮らしにもだいぶ慣れた2022年、「タイガースが勝たない」という、ファンが抱える試合後のぐちゃぐちゃな感情を、なぜか「短歌にしよう!今シーズン最終戦まで!」と決め、試合後5分以内の感情を歌にして、SNSで発表されていた池松舞さんの第一歌集です。 思い返せば、プロ野球も無観客試合の開催という誰も想像しなかった「世界」があったり、この短歌の翌シーズンは「セ界」でダントツの強さでタイガースは優勝したり。 わたしたちの「せかい」は希望も絶望も、いろんな夜も、いろんな気持ちもあって。野球も短歌も、あなたもわたしも、その当事者の意図しないところで世界は常に動いていて、誰のためでもなかったのに、思いがけず誰かの気持ちを変えているかもしれません。 好きなものへの愛あふれる歌のかずかず。それは「阪神タイガース」というくくりをはるかに超えています。「ああ、そうだよな」をたくさん見つけてください。
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最初の質問
¥1,650
長田弘 詩・いせひでこ 絵/講談社 2013年7月発行 中学生の国語の教科書にも採用されたり、結婚や旅立ちの際に贈られることも多い詩「最初の質問」。短い問いの答えは自らにゆだねられて、広い宇宙、豊かな自然のある地球、人間だけが生きているわけではない世界・・・と、問いかけられた質問を自分の中で反芻しながら、視点がだんだんと核心へと近づいてきます。 「わたしとは何者なのか」、心に残る多くの問いかけ。ともすれば自分本位な考え方が蔓延している闇のような世界状況の現代、だれかの命を奪う殺戮兵器よりも強いものがあるとするならば・・・最後の問いの答えに、自信をもって答えられますか。
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橋の上で
¥1,000
湯本香樹実 文・酒井駒子 絵/河出書房新社 2022年9月発行 いっそのこと、ここから逃げてしまったら・・・ ぼくが川を見つめていた橋の上で、ぼくに声をかけてきた知らないおじさん。 ぼくが心に抱えていたものを、またかつておじさんも抱えていたのだろうか。 おじさんが教えてくれた、水の音、みずうみの風景。 生きづらい世の中で、あの日があったから、 あの出会いがあったから、今の自分がある。 橋、だれかとだれかの間をつなぐ道の物語です。
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風が描く絵 鳥取砂丘(月刊「たくさんのふしぎ」2024年7月号 第472号)
¥810
水本俊也 文・写真/福音館書店 「砂丘」とは文字のとおり「砂でできた丘」、風が運んできた砂がとてもとても長い時間をかけて集まって積もっていて、風によって表面に模様があらわれます。 その模様は一期一会、天候や風の強さや砂の粒の大きさにもよって、さまざまな模様が現れるそう。表面は砂の粒がはねていたり、転がっていて、今もまさに動いています。 高校卒業までを鳥取で過ごし、鳥取砂丘に魅せられている水本俊也さん。「砂丘と砂漠の違い」から模様のしくみ、四季折々の姿などをたくさんの美しい写真とともに解説されていて、自然の雄大さや美しさに息をのむよう。巻末にはさまざまな宇宙の青、自然の青の美しさに目を見張るような「冬の鳥取砂丘」の折り込みポスターと、ふしぎ新聞がついています。
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極楽よのぅ
¥2,200
内田健太郎/ちいさいミシマ社 2024年6月発行 東日本大震災を機に、山口県の周防大島へ移住され、養蜂業を営む内田健太郎さん。 それまでの住居から、生活の全部の拠点を移す「移住」、受け入れるのは新たな生活の拠点となる土地の人々でもありますが、それ以上に、その土地を「新たな生活の拠点」と定めて移り住む人が、先住の人たちの暮らしや風土、しきたりを受け入れて馴染んでこそ、新しい風をその地に吹き込ませることができるのではないでしょうか。 さて、2024年に移住の地の周防大島にて、みつばちミュージアム「MIKKE」を開くほどに多くの方々をうならせるおいしいはちみつを収穫される内田さんが、どのように周防大島で生きていらっしゃるのか。移住を決めた日から今日までの、たくさんの笑いとたくさんのほろりが詰まった痛快な1冊。ぜひ味わってみてください。
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死のやわらかい(歌集)
¥1,650
鳥さんの瞼/点滅社 2024年5月発行 わたしが日々を営むうえで切り離すことのできない「死」。だれかの、なにものかの(人間だけではなく、すべてのものの)命の終わりとともに今日を生きている。それは表裏一体であり、どちらも尊い。作者「鳥さんの瞼」さんが向き合う「死」の傍らには、同じくらいに「生」の気配がみられるように思います。 全編を通じて多いのが「母」の歌。歌集を通して読むと、母が自分を生んだ時の状況が垣間見えます。「生んでくれた人」とか、「育ててくれた人」を超えたひとりの人間として、同志として読まれた歌の数々は必読です。 あとがきで「幸せとは痛みに視線を向けないでいること」と。もちろん今の世界への痛烈な批判であるのだと思います。誰かの痛みを敏感に感じながら、それでもひとつひとつの死と生をすくいとるような、装丁もとても美しい鳥さんの瞼さんの第一歌集です。 歌人の岡本真帆さん、林あまりさん、東直子さんによる、歌集の解説書ともいえる「栞」がついています。
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【再入荷】の(福音館の単行本)
¥2,200
junaida/福音館書店 2019年11月初版発行/2020年12月第7刷 78ページ 「わたしの お気に入りのコートの ポケットの中のお城の・・・」 単語と単語をつなぐ、「の」。「の」がことばの間にあることで、どんどん、どんどん世界が広がっていきます。 終わりそうで終わらない世界。「の」が、時に想像しなかった言葉とくっついて、わたしの お気に入りのコートの ポケットの中には無限の宇宙が隠れていることを知ります。そして長い長い旅の終わりに行きつくところとは。 繊細で美しく、愛らしい挿絵とともに、ことばと想像の旅を楽しみたい絵本です。
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【再入荷】水はみどろの宮
¥770
石牟礼道子 作 山福朱実 画/福音館書店 2016年3月発行 *1997年に平凡社から刊行の「水はみどろの宮」を底本とし、文庫化にあたり若干の修正がされています。 両親を早くに亡くし、川の渡し船の守をする爺さまと暮らす七つの「お葉」。自然とともに生きるお葉、爺さま、村の人々、山の生き物、草花、宇宙…この本の中には仏教用語でもある「六根清浄(ろっこんしょうじょう)」という言葉が出てきます。「六根」とは、私たちがもつ「五感」と「意識」のこと。それらをフル活用して物語のなかに入ってください。山を駆け、月夜や時空を超えて、いろいろなものを感じることができます。 石牟礼道子さんが子どもに向けて書かれ、その世界に飛び込みやすい美しい版画調の挿絵がたくさん添えられた、子どもはもちろん、大人も心豊かに楽しめる物語です。
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【再入荷】不完全な司書
¥1,870
青木海青子/晶文社 2023年12月発行 「本は窓」、そう、いろんな景色が本をとおして見えてくる。「完全」でないわたしが、完全でないだれかの話を聞く。違う世界の景色が見える本を間にして、だれかの欠けた部分が埋まり、またわたしの欠けた部分にも何かが満ちる。 完全でないからこそ、足らない部分があるからこそ、違う何かがわたしを構成する一部になる。それは本でもあり、だれかの声でもあり、もしかしたら存在しない(とされる)幽霊のようなものかもしれない。 完全なかたちにはない、他者をうけいれることのできる「不完全」。不完全なわたしを、わたしも受け入れる。 奈良県東吉野村。まるで現世からすこし離れていくかのような小川にかかる橋を渡りたどり着く私設図書館「ルチャ・リブロ」の司書、青木海青子さんの最新エッセイ集です。
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月とサングラス(俳句∔エッセイ)
¥880
巽(ミヤモトヒロミ)/こばこ舎(ホリデイ書店) 2024年2月発行 広島県廿日市市。世界遺産の厳島神社の・・・と紹介すると、多くの方が「ああ!」というであろう街の主要駅「廿日市駅」そばにある、青いテントの古書店「ホリデイ書店」さん。 一日の営業を終えられ、日々の出来事とともに紹介される、店主ミヤモトさんの俳句。すでに500以上の句が紹介されていますが、その中から選ばれたものに、未発表の句の中から厳選された171の俳句と、かきおろしエッセイの収録された、ご自身としても、レーベル「こばこ舎」としても初の作品集です。 お店の併設のカフェのカウンター越しに、お店の古本たちに囲まれながら、お客さまと話される言葉の中に、季節のうつろいを感じながらめぐり浮かんでくることを17字に集約する。そうして、離れた場所で詠まれた句が、自分の中にもある過去の一瞬を呼び覚ましてくれることがなんだかおもしろく感じながら。エッセイのなかの一篇「ラーメン屋にて」、まとった途端に日常から別の次元に隔世されるようでもある礼服。現世に戻るための「あわい」のひとときに想われたことが綴られています。 ※ホリデイ書店さんは現在不定期営業中です。オープン日は同店SNSにてご確認ください。
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【再入荷】中学生から知りたい ウクライナのこと
¥1,760
小山哲・藤原辰史/ミシマ社 2022年6月発行 *ミシマ社のオンラインイベントを書籍化した「MSLive!BOOKS」シリーズです。 2022年3月16日開催の著者2人によるオンラインイベント「歴史学者と学ぶウクライナのこと」を再構成・加筆修正した内容に、他のメディアに寄稿された記事を合わせ緊急出版された書籍です。 2022年2月24日、ロシアがウクライナに侵攻し戦争が始まりました。このことについて、見聞きする映像、現地の人の悲痛な言葉に胸を痛めながら、どんな背景があってこの事態が引き起こされているのか、あまりにも何も知らない、わからないという自分がありました。 文化・言語・宗教の違い、争うことによって奪われたり取り戻したり・・・急に起こった戦争ではない、その背景を知るだけでも、自分の考え方に少しの自信が芽生えるかもしれません。 たとえば「ボルシチ」。表紙カバーのイラストは「ウクライナ風バルシチ」というポーランドの料理です。ウクライナ風でないバルシチも存在します。どうしてウクライナ風なのかを思うと、争いを繰り返す世界にも目が向くよう。 中学生には難しいかもしれませんが、きっかけとなって誰かと話す機会をもつことができれば。そんな1冊です。
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【大好評再入荷!】食べる(月刊「たくさんのふしぎ」2024年1月号 第466号)
¥770
藤原辰史 文・スケラッコ 絵/福音館書店 「食べる」とは、いわば「毎日のおまつり」、ちょっと前まで生きていたものだけでなく、今生きているもの、食べものがいま届くまでにかかわってこられた人たち、そして色、味、におい、記憶までもが関わってくる、にぎやかで楽しい日々のおこない。寝ている時だって忙しい!すべてはこの星「地球」でのできごと。わたしも地球の一部分であるのです。 「食と農」の研究者、藤原辰史さんの楽しい文に、漫画家スケラッコさんのイラストでできた福音館書店の小学生以上向けの月刊かがく絵本。「食べる」という、生きる上で欠かせない身近なテーマから地球環境までを考える1冊、作者のことば【「食べること」のさきに】を収録した「ふしぎ新聞」もついています。
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【再入荷】私の好きな孤独
¥990
長田弘/潮出版社 2022年4月発行 「孤独」を知っているからこそ、奥深くのあらたな自分を発見ことができ、広い世界の中で、だれとも違う自分として生きることができる・・・長田弘さんがこの本の中で語られている「孤独」は、絶対的な孤独ではなく、「世界を、宇宙を構成するただ唯一の自分としての在り方」であるように思います。長田さんが触れられた詩、小説、文章、映画、音楽の中にある肯定的な孤独。ひとりになれる空間を愛すること。おとなへ向けた、静けさをテーマに綴られたエッセイです。
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【再入荷】ことばの果実
¥880
長田弘/潮出版社 2021年12月発行 長田弘/潮出版社 2022年4月発行 四季のある日本では、さまざまな果実・花実がひとびとの味覚だけでなく視覚、嗅覚、触覚を楽しませてくれます。そこに、詩人、長田弘さんの感覚が加わったエッセイは、長田さんのことばによって「記憶」も呼び覚ましてもらうような。「苺一粒ほどの奇跡」とあとがきの落合恵子さんが語られているように、幼い頃やふとした一瞬に刻まれた果実のみずみずしい記憶がきっと蘇ってきます。「花実」とは「外観と実質、表現と内容」の意味もあるそうです。
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りんごの村
¥1,760
小出正吾 文・河野鷹思 絵/アノニマ・スタジオ 2023年12月発行 ※1950年(昭和25年)に実業之日本社より刊行された「りんごの村」をもとに復刊されました。 母と息子が生きる場所を探す旅の果てにたどり着いたりんごの村。村人は山の上のお城に住むおじいさんに見守られながら、それぞれの役割を持ち働きながら暮らしています。けれども、おじいさんを利用することを覚え、働くのをやめてしまった村に聞かれるようになったのは争いの声。そんな中、息子の病気を治すために母親が向かった先は、ばけものが住むという山の上のお城・・・(りんごの村) だれにもやってくる終わりの時。しかしそれはまた、新しい誕生の時でもあるのです。年長者と年少者、それぞれにはそれぞれのよいものがたくさんあり、お互いに敬いながら生きていくことの大切さ・・・(二つの自動車) 絵本「のろまなローラー」はじめ多数の児童文学を生んだ作家小出正吾さんと、原書でも装丁・装画を担当し、日本のグラフィックデザイン界の先駆けといわれる河野鷹思さんが手がけた童話集「りんごの村」の復刊。ポップで心に残る表紙デザインも当時の原書より使用とのこと。70年の時を経て読む童話に、かつての子どもだったわたしたちも心に残る「大切にしたいもの」があります。
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チロルくんのりんごの木
¥1,760
荒井良二/NHK出版 2016年9月発行 大きくて広い世界の中で、いちばん輝いているぼくの生まれた村。おいわいごとがあるたびに一本づつ植えられて増えたりんごの木は、まさにこの村の家族の象徴ともいえる。山深いこの大好きな村で、ぼくもまた家族を作っていく。あの、たいせつな約束を、エーデルはおぼえているだろうか。 朝は希望、りんごの木は家族、一緒に育ってきたかけがえのない人への愛。いきいきと飛び出しそうでありながらとても優しい筆致とことばは荒井良二さんならでは。「生」のよろこびがたくさんあふれた絵本です。
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【再入荷】随筆集 小さな声の島
¥1,980
アサノタカオ/サウダージ・ブックス 2024年4月発行 「小さな声」、たくさんの人に演説したり、言い訳するための作られた言葉では決してない、その人の奥底からふと出てきたり、あるいは声にすらならない、もしくは声として発することすらできない気持ちは、時として誰かの一生に残ることばになって、また次へと伝えられることばとなります。 旅と詩にまつわる本を手掛けられるアサノタカオさんの最新随筆集。ひとりの旅から家族が増える中で思い浮かべる実父の声なき声、生活の拠点を変え、出会った人々や島での暮らしの様子の中での「小さな声」、手がけてこられた本にまつわることについての「小さな声」。小さいからこそ聞こえるかもしれない、一度きりの大切なことば。誰かに手渡せたら、私たち自身が島となりえるのかもしれません。